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2024.09.07

  • コラム

歯科医院の待ち時間が長くてクレームに?対応方法やその原因、待ち時間を減らすための対処法を徹底解説!

歯医者 待ち時間 クレーム

Writer

高橋 翔太

医療法人社団しん治歯科医院 COO 兼 事務長
日本で唯一のストック型歯科医院専門コンサルタント兼歯科医院の経営者

歯科医院を利用する患者の中には、待ち時間が長いことにクレームをつける方がいます。「いつまでたっても呼ばれない」という状況にイライラしてしまうケースは珍しくないため、歯科医院側としても適切な対処が求められます。

本記事では、歯科医院の待ち時間に着目し、クレームの対応方法や待ち時間が長くなる原因などをまとめました。

歯科医院の待ち時間に関するクレームはよくある?

歯医者 待ち時間 クレーム

厚生労働省が行った病院を対象にした調査では、外来の項目別満足度において、「診察までの待ち時間」で不満と答えた人は全体の4分の1程度でした。他の項目には「診察時間」や「医師との会話」などもありましたが、診察までの待ち時間に対する不満が突出しています。

歯科医院に関しても同様のことが当てはまると考えると、待ち時間はクレームになりやすいと考えられます。

参照:厚生労働省

ちなみに、診察の待ち時間が1時間以上のケースがだいたい25%前後でした。先ほどの質問で、不満と答えた人が全体の4分の1程度だったことを思うと、1時間程度の待ち時間になると不満につながりやすいと想定されます。

歯科医院の待ち時間が長くなる原因

歯医者 待ち時間 クレーム

本項目では、歯科医院の待ち時間が長くなる原因についてまとめています。

予約を詰め込みすぎた

予約を取る際には、出勤予定の歯科医師の状況を見て予約枠が定まり、予約を詰め込んでいくことになります。想定される治療時間を考慮しながら予約を詰め込む形ですが、想定外の出来事が起こると、色々と予定が崩れていくのです。

歯科医師が急に来れなくなるケースもあれば、治療が長引くケース、急患がやってきたケースなどがあって、本来の時間をオーバーすることがあります。結果的に予約を取った患者が長く待たされる事態を招いてしまうのです。

患者を待たせてしまうのはやむを得ない

歯医者 待ち時間 クレーム

歯科医院では予約を受け付けていても、予約時間より遅れて診察室に患者を案内することがありますが、「患者を待たせるのは色々な事情があってやむを得ない」という体制の歯科医院があります。

これでは、待ち時間が長くなっても是正しようという動きにはならないので、

「絶対遅れてはいけない」という意識を歯科医師を始め、歯科衛生士や歯科助手と一丸となって予約時間に間に合わせようというとする事が大切です。

患者が予約時間を守らない

待ち時間が長くなるのは患者にも問題があります。予約時間を守らず数分程度遅れた場合、患者が到着してから準備を進めるケースがあるため、結果的に予約時間から10分以上の遅れが生じる可能性が高いです。

多くの患者が遅れてやってくるような状態であれば、そのしわ寄せは後ろにいくため、後半の方になると長い時間待たされる可能性が出てきます。裏を返せば、歯科医院側が予約時間厳守を打ち出していないために起きたこととも言えるのです。

歯科医院における待ち時間が長いことに関するクレームへの対応方法

歯医者 待ち時間 クレーム

本項目では、歯科医院における待ち時間が長いことに関するクレームへの対応方法についてまとめています。

まずは謝る

待ち時間が長いことを理由にクレームをつけた患者に対しては、まず謝ることが必要です。患者は怒っているので、怒らせてしまったことや不快な思いをさせてしまったことなどに対して謝罪の気持ちを伝えるのが確実です。

しっかりと謝ることで、患者自身は感情的になりにくくなり、余計なトラブルを生まずに済みます。しかしこの謝罪はあくまでも患者を怒らせたり、不快な思いをさせたことへの謝罪であり、すべてにおいて謝罪するような形だと、後々ややこしいことになりかねません。

とにかく話を聞く

歯医者 待ち時間 クレーム

しっかりと謝った後は、患者の話を丁寧に聞くことになります。患者はまだ怒りの気持ちがあり、「なぜこんなに待たされているのか」という疑問が強くある状態です。また、「いつになったら呼ばれるのか」などのクレームを受ける可能性もあります。

その場合でも、具体的なことは言わず、頭を下げながら「もう少しお待ちください」と伝えつつ、相手がさまざまなクレームをつけても丁寧に聞くことが大切です。もしも言い訳などをすれば、相手はより怒ってしまうため、正当性を主張するようなことは避けましょう。

クレームで言われたことを記録する

クレームで言われたことに関しては記録しておくことが求められます。例えば、待ち時間が長いことにクレームをつけた人は、再び同じような状況になれば前回よりもさらに怒る可能性があるでしょう。記録しておけば、もしも待たせそうになったら、事前に対策を講じられます。

また、1つのクレームだけでなく、複数のクレームを一気に伝えようとするケースもあるため、待ち時間が長い以外のクレームを言い出したとしてもそれらを記録しておくことも必要です。

歯科医院における待ち時間を減らす対処法

歯医者 待ち時間 クレーム

本項目では、歯科医院における待ち時間を減らす対処法について解説します。

予約時間厳守を徹底する

患者が予約時間を守らないことで、待ち時間の発生につながり、待ち時間に関するクレームが生じることになります。予約時間の厳守を徹底し、一定時間遅れたら当日の診察を断るという方針を伝えることも必要です。

遅れた人に対して毅然とした対応をとることを示していけば、患者が予約時間を守る動きにつながるほか、後ろで予約をした患者が割を食うような状況を避けられます

ゆとりのある予約状況にしておく

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ゆとりがない予約状況にしてしまうと、不測の事態が生じた場合に一気に待ち時間が生じやすくなり、混乱につながってしまいます。しかし、予約状況をゆとりのある状態にコントロールできれば、何かしらのアクシデントが起きても柔軟な対応ができます。

予約枠を調節して、あえて予約が少ない時間帯を作ることで、急患があった時にその空き時間で対応するという形にすれば、急患の影響を最小限にできるでしょう。予約枠にゆとりを設けて、ギチギチにしないことが求められます。

混雑状況を示す

混雑状況を示すことも必要なことです。あと何人で呼ばれるかを示しておけば、患者はある程度待ち時間を予測することができます。また、どの時間帯・曜日に混みそうなのかという情報を事前に患者へ伝えられれば、待ち時間が生じる可能性がある事を把握したうえで来院するので、ある程度患者のストレスを軽減することができます。

待ち時間に関する情報が示されれば示されるほど、納得しやすく、クレームをつけようとは思いにくくなるでしょう。待ち時間に関する情報をできる限り可視化させるために、さまざまな工夫が必要とされます。

クレーム防止のために待ち時間の際にやっておきたい対策

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本項目では、クレーム防止のために待ち時間の際にやっておきたい対策をまとめています。

おおよその待ち時間を示す

待ち時間が長い場合、あとどれくらいで呼ばれそうかという目安があれば、「まずはその時間まで我慢するか」と患者は待とうとしてくれます。ところが、その目安がない場合には「いつまで待たせるのか!」と患者の怒りにつながってしまうのです。

正確な待ち時間を示す必要はなく、おおよその目安を伝えるだけで十分です。おおよその目安よりも早まることも考えられるため、早まった場合には歯科医院側の誠意として受け取ってくれるかもしれません。

患者に声掛けを行う

歯医者 待ち時間 クレーム

待ち時間が長いと怒る患者の中には、待ち時間が長い理由がわからないために怒ってしまう人がいます。一方で、待ち時間が長い理由が分かれば、長くなるのも致し方ないと納得してくれる可能性もあります。

長引きそうな場合には声掛けを行い、長引いている理由などを伝えて理解を得ることが必要です。この声掛けをするかしないかで、患者の満足度がだいぶ変わります。

雑誌などを置いておく

長引きやすい場合には、さまざまな雑誌や新聞を置いておくのがおすすめです。暇つぶしになりそうなものを多く置いておくことで、待ち時間をできる限り有効的に活用してもらうことができます。

また、近年はスマホで時間つぶしをするケースが多くなっており、無料Wi-Fiを用意しておくのも1つの手です。コロナ禍では衛生上の観点から雑誌を置かない代わりに、Wi-Fiを用意して待ち時間を過ごしてもらおうとする歯科医院もあります。

歯科医院の待ち時間に関するクレームを防ぐには丁寧な説明が欠かせない

歯医者 待ち時間 クレーム

与えられた情報があいまいで、置かれている状況に正当性を感じることができなかったり、歯科医院側からの説明や対応が納得できなかった時にクレームが起こりやすいと言えます。

そのため、クレームを防ぐには丁寧な説明が欠かせません。「急患が入ったので遅れてしまった」、「歯科医師もしくは歯科衛生士に急病が出たため、いつもより少ない人数で回している」などの情報を伝えると、「そういう事情であれば仕方ない」と思ってもらいやすくなります。

もちろん、予約時間を過ぎてしまった場合は誠意を持って謝ることが第一で、その後に丁寧な説明をするようにしましょう。

まとめ

歯科医院の待ち時間が長くなることは、どこの歯科医院でも起こりうることであり、予約でいっぱいの歯科医院では日常的にあることです。「待ち時間が長くなることはよく起きること」という前提で、予め患者へ情報を伝えることや待ち時間を少しでも快適に過ごしてもらうための工夫が必要です。

そして、患者の遅刻防止のため「予約の時間厳守」という歯科医院の体制を目指していくことも必要でしょう。

Writer

高橋 翔太

医療法人社団しん治歯科医院 COO 兼 事務長
日本で唯一のストック型歯科医院専門コンサルタント兼歯科医院の経営者