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2024.09.07

  • コラム

歯科技工士の平均年収はどれくらい?月収や初任給、規模別・年齢別・男女別やボーナスについても解説!

歯科技工士 年収

Writer

高橋 翔太

医療法人社団しん治歯科医院 COO 兼 事務長
日本で唯一のストック型歯科医院専門コンサルタント兼歯科医院の経営者

虫歯になり、歯を大きく削ることになった際に金属やセラミックなどで埋めたり被せます。この時の詰め物や被せ物を作るのが歯科技工士です。歯科技工士とはどのような仕事なのか、そして、いくらぐらいの年収なのか、気になる方も多いはずです。

今回は歯科技工士にスポットを当て、歯科技工士の年収に関する話題を中心に解説を行います。また年収を上げるポイントもご紹介します。

歯科技工士の年収を解説する前に歯科技工士とは何かを解説

歯科技工士 年収

歯科技工士の年収がいくらぐらいなのかという話題の前に、まずは歯科技工士がどんな仕事を行うのかについて解説します。

歯科技工士の仕事

歯科技工士は患者の詰め物、被せ物、入れ歯などの作成や加工などを行う職業です。かみ合わせをしっかりとしないと食べること、飲み込むことのほか、踏ん張ることや力を出すこともしにくくなります。一方で見た目の美しさという審美的観点においても、被せ物や入れ歯の存在は重要です。

こうした詰め物、被せ物、入れ歯は歯科医院で型取りを行った後に、歯科技工士が加工を行っていきます。歯科技工士なしには歯科医院は成り立たないと言っても過言ではなく、歯科技工士は大事な存在です。

歯科技工士は国家資格

歯科技工士 年収

歯科技工士は国家資格であり、一度取得すればいつまでも資格として生き続けます。高校を卒業した後、歯科技工士に関する学校に入って2年以上勉強を行います。そこで国家試験の受験資格を得て、実際に試験を受けるという流れです。

国家試験に合格した後は登録機関に申請を行い、名簿への登録が行われてから免許が出されます。合格率自体はほぼ100%で、学校で学んだことをちゃんと出せれば十分であり、しっかりと学ぶ姿勢さえあれば歯科技工士にはなれると言えるでしょう。

歯科技工士の年収について

歯科技工士 年収

ここからは歯科技工士の年収について解説していきます。

歯科技工士の初任給

歯科技工士の初任給はおおむね20万円前後となっており、歯科衛生士と比べると若干低い給料と言えます。公益社団法人日本歯科技工士会では歯科技工士の賃金モデルを発表しており、2年制の学校を卒業した歯科技工士の場合、186,500円がモデルとなっており、3年制だと197,100円、4年制だと207,500円となっています。

必ずしも公益社団法人日本歯科技工士会が定めた賃金モデルを守る必要はありませんが、根拠もしっかりとしたものがあり、おおむね賃金モデルを多少前後する程度で初任給の設定が行われていると言えるでしょう。

歯科技工士の平均月収

歯科技工士 年収

歯科技工士の平均月収はおおむね30万円前後とされています。歯科技工士の平均年齢が高く、勤続年数が長いケースも多いため、全体的に毎月の月収は高くなりやすいほか、ニーズが安定しやすいことも特徴的です。

歯科技工士の賃金モデルでは、10年間働き続けることでおおむね25万円ほどとなり、40歳を迎える頃には賃金モデルが30万円を超えるような状態になっています。この賃金モデル通りとなれば、30歳でおおむね25万円ほど、35歳で28万円ほど、40歳で31万円ほどと5歳ごとに3万円ずつ増えていくような形になると言えます。

ちなみに還暦を迎える頃の賃金モデルでは毎月50万円となっており、コツコツと仕事を行っていきたい方にとって歯科技工士は理想的と言えるでしょう。

歯科技工士の平均年収

歯科技工士の平均年収は、およそ430万円ほどとされています。この平均年収はあくまでも全体の歯科技工士の年収を平均したもので、独立開業をしている歯科技工士や男女、規模などで大きく異なります。

賃金モデルを見る限りでは年収430万円という数字は妥当な数字であり、実態と異なる年収とは言えません。働く場所などで変化こそありますが、平均年収430万円を前後するようなところに目安を置いておくのがいいでしょう。

歯科技工士のボーナス

歯科技工士 年収

歯科技工士のボーナスはおよそ50万円前後となります。賃金構造基本統計調査などの賞与の項目において、50万円前後の金額が出てくることが多いです。

独立開業をしている方はボーナスがなく、技工所などに勤めている方が対象となりますが、企業規模が大きいところほど多くもらえる傾向にあると言われています。

歯科技工士の規模別年収

賃金構造基本統計調査によると、歯科技工士の規模別年収はさほど違いは見られず、1,000人以上の規模であれば平均年収が450万円を超えますが、そうでなければ400万円台前半といった状態です。

10人未満の規模であっても400万円以上は確保されているため、規模が小さいから年収が低くなるわけではなく、100人単位の規模の事業所が多くもらえているわけでもありません。

年収の違いはボーナスの違いが大きく、1,000人以上の事業所におけるボーナスは平均で70万円を超えています。歯科技工士のボーナスは全体の平均で50万円ほどだったことを考えると、20万円程度の差が大規模な事業所とそれ以外の事業所の差と言えるでしょう。

歯科技工士の年齢別年収

歯科技工士 年収

歯科技工士の年齢別年収ですが、20代前半だと300万円を切る年収ですが、次第に増えていき、50歳になると480万円程度60歳になると570万円弱まで増えます。先ほどもご紹介した賃金モデルを見れば明らかで、20歳前半だと月収的には20万円を少し上回る程度であり、ボーナスを加えても300万円に達するかどうかといったところです。

かたや60歳になれば賃金モデル的には月収50万円なので、ボーナスを加えれば700万円前後まで手が届くことになります。ちなみに賃金モデルは残業手当や所定外手当などが入っていないため、残業手当などを加味すれば、今までご紹介した金額よりも多少多くもらえる可能性も考えられます。

歯科技工士の男女別年収

歯科技工士 年収

歯科技工士の男女別年収を見ると、男性は450万円ほどですが、女性は340万円ほどと100万円ほどの開きがある状況です。男女でこれだけの年収差があるのはいくつかの要因が考えられます。

男女比の違い

歯科技工士の男女比は男性が8割強、女性が1割半前後と明らかに男性の方が多めです。

最近になって女性の割合が増えているとはいえ、それでも女性の割合はまだまだ低いのが実情です。

ライフステージの変化

歯科技工士 年収

女性の場合、結婚や妊娠、出産などライフステージの変化の影響を受けやすいため、キャリアが途絶える可能性が高いです。そのため、積み重ねてきたキャリアを一旦ストップさせることになり、結果として年収の伸びが止まるような形になりやすいと言えます。

一旦退職して子育てもひと段落して復帰しようにも、ブランクを解消するには一定の時間がかかり、最初のうちは安い年収に収まりがちです。男性のようにライフステージの変化があっても働き続けられる状況とは異なります。

加えて女性の割合が少なく、たとえ勤続年数を重ねている女性がいても、そうでない女性の割合が多いと自然と平均年収の低さにつながりやすいと言えるでしょう。

歯科技工士の年収を上げるポイント

歯科技工士 年収

ここからは歯科技工士の年収を上げるポイントについてご紹介していきます。

歯科技工士としてのスキルを高める

歯科技工士としてのスキルを高めることは、年収アップに欠かせません。自由診療はもちろん、保険診療の範囲でも見た目の美しさが重視されます。また詰め物や被せ物を入れても普通に咀嚼ができる状態にするには、質の高い物を提供することが大切です。

歯科技工士は技術職なので、腕利きの職人に任せたいと思ってもらうことが重要です。ゆえに、スキルを高めることは年収アップには必要不可欠であり、後程ご紹介する独立開業や海外での就業においても大事な要素となります。

独立開業を目指す

技工所で働いていた歯科技工士が独立開業をするケースは多く、年収のボリュームゾーンを見る限りでは過半数以上の歯科技工士が平均400万円以上を稼いでおり、年収1,000万円の歯科技工士が1割程度います。

これは技工所などで勤務する人と比較しても明らかに多く、独立開業をした方が年収アップに期待が持てます。入れ歯や詰め物・被せ物などのニーズはそう簡単に落ちませんが、歯科技工士の高年齢化と担い手不足が顕著なため、独立開業をして仕事が全くないというケースは考えにくいでしょう。

独立開業にあたり、スキルを磨く、営業をかけるなどの努力をしておけば、勤務していた時以上の年収は十分に可能と言えます。

海外での就業を目指す

世界的に物価高となり、加えて日本は円安にあるため、日本人が海外に出稼ぎに行くことが珍しくありません。その結果、日本で同じ仕事をしても、到底日本では稼げないような収入を手にするケースが出てきています。実は歯科技工士の仕事は海外でも通用する仕事です。

歯科技工士は技術職であり、日本の技術の高さは世界的にも評価されています。そのため、歯科技工士としてのスキルを磨いてから海外に行けば、一定の収入を稼ぐことは十分に可能であり、年収を倍にするようなことも決して絵空事ではありません。

求められるスキルなどは海外でもさほど変わらず、あとは言語の問題のみです。そこさえクリアできれば異国の地で活躍することは可能です。

まとめ

歯科技工士の仕事は技術職であり、一度スキルが身につけば定年を迎えるまで続けられるほか、独立開業を行い、一定の年数以上続けることも可能です。また海外での就業も可能なため、将来的に海外で仕事をしたい人にもおすすめです。

平均年収だけを見れば一般的なサラリーマンとさほど変わりませんが、努力次第で年収1,000万円も十分に見込める仕事です。そして、ニーズはさほど減らず、担い手の高齢化などが加速する状況にあるため、安定した生活を送りたい人にはもってこいの仕事と言えます。

Writer

高橋 翔太

医療法人社団しん治歯科医院 COO 兼 事務長
日本で唯一のストック型歯科医院専門コンサルタント兼歯科医院の経営者