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2024.09.07

  • コラム

歯科医院で患者の無断キャンセルを防ぐ対応方法とは?キャンセル時の理由や損失額についても解説

歯医者 無断キャンセル

Writer

髙橋 翔太

医療法人社団しん治歯科医院 COO 兼 事務長
日本で唯一のストック型歯科医院専門コンサルタント兼歯科医院の経営者

歯科医院で働くすべての人が頭を悩ませる問題に、患者の無断キャンセルがあります。予約の時間になっても来ない、電話をかけても出ない、電話に出ても悪びれる様子もないという姿にイライラした方もいるのではないでしょうか。

本記事では、患者の無断キャンセルに着目し、無断キャンセルの実態や無断キャンセルを行う理由、損失額などを解説しています。

歯科医院が頭を悩ませる患者の無断キャンセルの実態

歯医者 無断キャンセル

歯科医院において、患者の無断キャンセルはどれくらい起きているものなのか、本項目では無断キャンセルの実態をまとめました。

6割以上の人がキャンセルの経験あり

2010年に行われた「歯医者さんのキャンセルと遅刻について」という1822人を対象に行われたアンケートにおいて、「歯医者さんの予約をキャンセルしたことがある」と答えた人は全体の61%に及び、5人に3人はキャンセル経験があるということが明らかとなりました。男女比で見ると、わずかに女性の方がキャンセル率が高く出ています。

参照:株式会社プラネット

キャンセルで事前連絡をした人の割合は8割以上

歯医者 無断キャンセル

またアンケートではキャンセル時の事前連絡の有無についても聞いており、前日までに連絡、もしくは当日連絡した人の割合は合計で86%でした。無断キャンセルのケースは14%と、キャンセルの経験がある人の7人に1人は無断キャンセルの経験があると言えるでしょう。

無断キャンセルをしたケースでは若い人が多く、事前連絡をした場合と比べても明らかに多いことがわかります。また無断キャンセルに関しては男性の方が多い結果が出ています。

参照:株式会社プラネット

無断キャンセルの理由

歯医者 無断キャンセル

無断キャンセルをする人の割合はおよそ1割強とそこそこの割合で患者の無断キャンセルが出ています。本項目では、なぜ患者は無断キャンセルを行うのか、その理由をまとめました。

悪意のない予約忘れ

無断キャンセルと言っても、その多くは悪意があって行われるものではなく、予約したことをすっかり忘れているケースと言えます。特に定期健診において、2か月後から3か月後の予約をするため、スケジュール帳で常に確認をする人でなければ、定期健診の存在をすっかり忘れることも考えられます。

予約を認識しているのに、「急に予定が入ったから行かなくてもいいか」と悪意を持って無断キャンセルをする人はあまり多くはないでしょう。予約を忘れてしまい、気づいた時には時すでに遅しというケースが多々見受けられます。

治療をしなくても支障がないという判断

歯医者 無断キャンセル

一方で、歯の治療が行われていく中で痛みなどもなくなり、現状でも十分問題がないと感じる人もいます。また、歯の定期健診をしなくてもいいのではないかという発想から、健診の予約をキャンセルするケースもあるでしょう。

症状が落ち着くと、歯科医院に通う意味、必要性を見いだせなくなってキャンセルしてしまう可能性もあります。もちろん治療が途中で止まれば症状が再び悪化する可能性があるため、無断キャンセルは患者にとってもいいことではありません。

歯科医院にとって由々しき事態と言える無断キャンセルの損失額

歯医者 無断キャンセル

無断キャンセルによる損失額は一説には年間で400万円とも600万円とも言われています。1日1件のキャンセルが1年間あった場合、だいたい100万円程度かかるとされ、1日あたりの平均キャンセル件数に100万円をかけた値段が無断キャンセルの損失額と言えるでしょう。

無断キャンセルがあることで、本来得られた収入がなくなってしまうほか、その分の人件費もかかります。一方で、平均5件の無断キャンセルの件数を平均3件に減らすだけで200万円以上の損失を削れるため、キャンセルをなくすことは売上のアップにつながることは明らかです。

歯科医院が取り組むべき患者の無断キャンセルへの対応方法

歯医者 無断キャンセル

歯科医院の経営にもつながる患者の無断キャンセル問題ですが、本項目では患者の無断キャンセルに対する対応方法をまとめました。

診察券に予約日時を書き込む

予約を忘れてしまって無断キャンセルになってしまうケースが多いため、患者がすぐに予約日程を確認できる様にすることが大切です。一番確実なのは、診察券に予約日時を書き込むことです。診察券を財布やカードケースに入れておけば、確認したい時にパッと取り出せるので、予約忘れ防止につながります。

ほとんどの歯科医院では診察券に予約日程を書き込んでいますが、中には徹底されていない歯科医院もあるため、今一度診察券に予約日程を書き込む作業を徹底していくことがおすすめです。

予約日の1週間前に電話連絡等を行う

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予約日の1週間前になって、電話連絡を行うのがより確実です。最近ではLINEで連絡が取れるようになり、予約日から1週間前にLINEで予約確認の連絡をするケースも増えましたが、LINEの未読の可能性もあるため、電話連絡で予約の確認をする方が確実です。

仮に予約日を忘れていて、外せない用事を入れていた場合にはその電話連絡で予約の再調整が行えるのもポイントです。無断キャンセルを防ぐ手段としては確実性のある方法と言えます。

最後まで治療を完了する意義を説明していく

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歯の治療はある程度済ませればもう問題はないと考える方もいますが、完全に治療を終えないと再び症状が悪化し、抜歯につながる可能性があります。また、仮歯で問題ないと放置していると、仮歯が劣化してやはり症状の悪化につながることもあるでしょう。

最後まで治療をし終えることは、歯の健康や寿命にもつながります。だからこそ、治療を終えるまでは予約を入れて通い続けてもらうことが大切です。その意義を初診の段階で示していくことが求められます。

歯科医院を無断キャンセルをする患者に対し毅然とした態度が大切に

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無断キャンセルをする患者に対して、歯科医院は毅然とした態度が求められます。本項目では毅然とした態度とはどういうものかをまとめています。

無断キャンセル以外の事態にも毅然とした態度がとれる

歯科医院では無断キャンセルを繰り返す患者もいれば、治療方針に文句を言い続ける患者、服用している薬の名前を教えようとしない患者などがおり、そのたびに歯科医院側が対応に苦慮するというケースがあります。こうした一連の患者の行為に対して、毅然とした態度で接することが必要です。

歯科医師法では応召義務が定められており、正当な事由がないと治療を拒めないというルールがあります。この場合の正当な事由には患者の迷惑行為が該当し、度重なる無断キャンセルも迷惑行為に該当すると考えられます。あまりにも悪質なキャンセルを繰り返す患者に対しては治療を拒否することも可能です。

さまざまな迷惑行為に対してひるむことなく接することができれば、他の患者に対して不公平感を与えずに済みます。常に毅然とした態度をとることは結果として歯科医院全体を守ることにもつながるのです。

患者の無断キャンセルは歯科医院側にも問題がある

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患者が無断キャンセルを繰り返すのは、歯科医院側にもある程度の問題があります。キャンセルポリシーを定めておらず、キャンセル料の支払いを求めないことや毅然とした態度を取れないこと、最後まで治療を完了する意義を伝えきれていないことなどが原因である場合もあります。

無断キャンセルを繰り返す患者を始め、歯科医院に迷惑をかける一部の患者は、真面目に通い続ける多くの患者に対しても迷惑をかけていると言っても過言ではありません。

迷惑をかける患者に毅然とした態度を取れないことは結果として、多くの患者の失望だけでなく、新しく歯科医院を利用する人を逃すことにもつながります。無断キャンセルに頭を悩ませる歯科医院は、現状を見つめ直して対策を立てていくことが必須です。

まとめ

患者の無断キャンセルは歯科医院からすれば由々しき事態であり、経営にも悪影響を及ぼします。計画通りに治療を重ねていくことが最短ルートで治療を終わらせることにつながるため、キャンセルは結果として患者にとってマイナスでしかありません。その事実を普段から伝えていくことも無断キャンセルを防ぐ要素となるでしょう。

Writer

髙橋 翔太

医療法人社団しん治歯科医院 COO 兼 事務長
日本で唯一のストック型歯科医院専門コンサルタント兼歯科医院の経営者