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2024.09.07

  • コラム

歯科医院での問診票に設けるべき必要な項目とは?正確な結果を得るためのポイントや注意点を解説

歯科問診票

Writer

高橋 翔太

医療法人社団しん治歯科医院 COO 兼 事務長
日本で唯一のストック型歯科医院専門コンサルタント兼歯科医院の経営者

患者とのヒアリングを行う中で患者の正確な状態を知ることになりますが、ヒアリングの前に状況を知ることで症状の把握ができ、スピーディな治療につながりやすくなります。その際に必要なものとして、歯科問診票があります。

本記事では、歯科問診票に着目し、歯科問診票とカルテの違いや導入のメリットなどを解説します。

歯科問診票とはどういうものか

歯科問診票

そもそも歯科問診票とはどういうものなのか、歯科問診票の基本的な情報をご紹介します。

歯科問診票の概要

歯科問診票は、歯科医院に受診する際、患者の症状や健康状態などの情報を知るのに必要な書類です。歯科医師は問診票に記載されている情報から、患者の症状や状態、大まかな方針などを定めていきます。その後、患者とのヒアリングを行う中で、はっきりとした治療方針を定めていくのが一般的な流れとなります。

最近はネットが普及し、問診票をプリントし、自宅で記入して持参してもらう方法のほか、ネット上で予約を取る際に問診票の記載もしてもらう方法があります。歯科医院に着いてから問診票を書いてもらうよりも時間短縮につながるため、多くの歯科医院では事前の問診票の作成を求めている状況です。

歯科問診票とカルテの違い

歯科問診票

歯科問診票と似たようなものにカルテがあります。本項目では歯科問診票とカルテの違いについてまとめました。

カルテは歯科医師が作成するもの

歯科医院におけるカルテは「歯科診療録」とも呼ばれ、患者の診察を行った際には作成が義務がある書類です。カルテで最低限記載しなければならないものとして、「患者の氏名・年齢・性別・住所」、「患者の病名・症状」、「患者に行った治療方法」、「患者を診察した年月日」があります。

より状態を把握していくために、カルテにはたくさんの情報を記入することも可能です。あくまでも法律上記載義務があるのは上記の4つとなります。

問診票は患者が作成するもの

歯科問診票

問診票は歯科医院を受診する際に作成するもので、法律上の作成義務はありません。そのため、問診票を出さなかったからといって法律違反とはならないのです。しかし、スムーズな診察につなげていくために問診票があるため、ほとんどの歯科医院では問診票を用意しています。

問診票は法律で義務付けられたものではないため、項目は歯科医院ごとに異なるのが一般的です。例えば、矯正歯科のような専門的な治療に特化した歯科医院であれば、そのジャンルに関連した項目が多く用意されていると考えられます。

歯科問診票を導入するメリット

歯科問診票

本項目では、歯科問診票を導入するメリットについて解説します。

患者の受診理由が正確に把握できる

歯科医院を受診する理由は人それぞれです。健診を希望する方も当然いますが、「突如詰め物が取れた」、「入れ歯が必要になった」、「インプラントを入れたい」、「ホワイトニングに興味がある」など人によって受診理由は異なります。

問診票に記載してもらうことで、なぜ受診したのかを正確に把握できます。歯が痛い場合でも、生活習慣の状況などを記入してもらう項目があれば、おおよその記載内容で、虫歯・歯周病・知覚過敏などの予測がしやすくなるのです。

誤診のリスクを減らす

歯科問診票

問診票には既往歴やアレルギーの有無などを記載する項目があります。これらの情報を事前に記載してもらうことで、診察の精度を高められます。そもそも問診の目的は、誤った判断をしてしまって、予期せぬ事態を招かないようにするためです。

また、急を要する患者かどうかも問診票から判断できます。緊急であれば大至急治療を行わなければならないため、諸々の準備が欠かせません。状況判断を正確に行うためにも問診票はかなり重要です。

歯科問診票に設けるべき項目

歯科問診票

本項目では、歯科問診票に設けるべき項目について解説します。

受診の目的など

なぜ歯科医院を受診しようと思ったのか、受診の目的や症状などを記載する項目が必要です。歯や歯茎の痛みの有無、痛みの感じ方など該当する項目をチェックしていくことでおおよその症状の確認が行えます。

目的や症状の項目が多ければ、該当するものもそれだけ増えるため、より詳細な症状の確認ができます。問診票によっては痛みの場所を書き込めるよう、上下の歯のイラストを載せて具体的に場所を示してもらうようにしたものもあるなど、このあたりも歯科医院によって分かれるところです。

既往歴・投薬歴

歯科問診票

服用している薬、もしくは抱えている病気によって、歯や歯茎に何らかの症状が出てしまう場合があります。薬や病気が悪影響を与えている可能性を考慮し、既往歴や投薬歴を問診票に記載してもらうことで、スピーディーに症状の原因などを突き止められます。

既往歴や投薬歴に関しては、問診票の項目に複数の病名を記載し、その中から選んでもらうケースもあれば、既往歴や投薬歴の有無をはい・いいえで答えさせてから病名や薬品名などを記入してもらうケースもあります。患者に既往歴や投薬歴がある場合には、問診票を記載する前に薬名などを調べてもらって記載してもらうのが確実です。

アレルギーなどの有無

金属アレルギーなどのアレルギーを持っていないかどうかについて、問診票に記載しておくことが求められます。仮に金属アレルギーだった場合、金属の被せ物をすると金属アレルギーの影響を受ける恐れが出てきます。事前に金属アレルギーであるとわかれば、金属を使わない被せ物を活用することになるでしょう。

また蕁麻疹が何かしらの症状をもたらすケースもあります。これらのアレルギー、蕁麻疹の有無を事前に書いてもらうことで、予期せぬトラブルを避けられます。

自由記入欄

自由記入欄は、問診票の最後に設置されるのが一般的です。これまでの設問に該当しない質問や要望などを記入していくことになります。「保険診療内で治療をしてほしい」、「場合によっては自由診療でもかまわない」など、色々な要望を書いてもらい、ヒアリングの際に改めて尋ねることが可能です。

歯科問診票を活用する際の注意点

歯科問診票

問診票はスピーディーに治療を始めていく上で必要なものですが、一方で注意しなければならない部分もあります。本項目では歯科問診票を活用する際の注意点をまとめました。

できる限り歯科医院に訪れる前に記入してもらう

問診票はできる限り歯科医院に訪れる前に記入してもらうことが大切です。問診票は診察の前に歯科医師がチェックして、推察を行うため、推察できる時間が一定時間用意されれば、誤診のリスクも減らせます。

多くの歯科医院は、ネット上で予約ができ、その際に問診票を記入する形になっています。Webから問診票の記入が行えるため、歯科医院を訪れたらすぐに診察に入れます。待ち時間もかからず、すぐにヒアリングを行って処置に入れるので、早急に痛みを取り除くことも可能です。

一方、予約時間ギリギリに訪れ、その場で問診票を書き始めた場合、診察の始まる時間が押す可能性が高くなります。すると、全体的に診察の開始時間が後ろ倒しになりやすく、予約の意味をなさなくなる可能性が出てきます。時間通りにスケジュールを組んでいくためにも、前もって問診票を書いてもらうことが大切です。

問診票を一読したことが伝わるようにする

歯科問診票

問診票を記載してもらうのは初診もしくは久しぶりに診察を受けてもらう時がほとんどで、その時点ではまだ歯科医師と患者の信頼関係は構築されているとはいえません。患者は歯科医師と初対面、または久々の対面で不安な部分もあるため、「この先生に任せたい」と思わせることが重要です。

問診票に書かれたことをしっかりと見た上で質問を行う形であれば、患者は安心します。逆に問診票を見ていないような態度で質問をすると、患者は「問診票に書いてあるのに…」とうんざりし、別の歯科医院での治療を検討する可能性まで出てきます。

コミュニケーションを重ねていく中でより詳細な症状、状況を把握できるため、最初から好印象を持ってもらうような態度で接することが重要です。問診票をしっかりと読んだと思ってもらえる接し方が欠かせません。

歯科問診票を活用して正確な結果を得るためのポイント

歯科問診票

最後に歯科問診票を活用して正確な情報を得るためのポイントをまとめました。

症状について明確かつ詳細に書いてもらうようにする

治療を行うには、症状を正しく把握した上で適切な処置を行う必要があります。症状を正しく把握するために問診票がありますが、事細かに症状を書いてもらうためにも、問診票のレイアウト・デザインを考えなければなりません。

いつから症状を感じたのか、どの部分で痛みを感じたのかなどを事細かに書き込んでもらえれば、おおよその原因を推察でき、その推察を基に患部の確認が行えます。例えば、「長い間鈍い痛みが続き、数日前から急に激しい痛みになった」と書いてあるのと、単に「激しい痛みがある」だけでは、印象が異なるでしょう。

できる限り正確に症状を書いてもらうためにも、問診票の項目を工夫していくことが求められます。

まとめ

歯科医院での問診票を正確に書けば書くほど歯科医師に伝わりやすく、適切な処置につながりやすい状態となるでしょう。どの歯科医院の問診票を見ても、微妙な違いこそあれど、事細かに症状や既往歴などを書き込めるようなレイアウトになっており、記入漏れが起きづらいフォーマットのものが多いです。

問診票に記載する項目に関しては、問診票のフォーマットが多く出回っているほか、全国各地にある歯科医院の問診票がネットでチェックできるため、参考にできるものがたくさんあります。それらを見た上で問診票に記載すべき項目を吟味してピックアップし、レイアウトを考えていくと、適切な処置につながりやすい問診票に仕上がるでしょう。

Writer

高橋 翔太

医療法人社団しん治歯科医院 COO 兼 事務長
日本で唯一のストック型歯科医院専門コンサルタント兼歯科医院の経営者